古城の姫君
 あの戦争で殺された人々は、ここに埋められているから、きっとこの骨のどれかがカルミアの骨なんでしょうけど……。どれなのかわからない」

 リリィは悲しげな目で、地面の上に転がっているたくさんの人骨を見つめました。

「クロークスさん。
 あなたがいつかラティスフォリアの王様になったとき、もう二度と戦争を起こさないと約束してくれませんか。
 こんな悲しいことは、二度と起きてほしくないから」

「……。俺のこと、恨んでないのか?」

 クロークスの言うとおり、リリィにとってクロークスは、自分の大切な人を殺した国の人間です。
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