古城の姫君
 少しの間、リリィは黙っていましたが、

「……もし私があなたを殺したら、今度はあなたを大切に思う人が誰かを恨んで、また誰かが殺されて……きりがないでしょう。
 それに、10年も誰かを恨み続けることは、私にはできませんでした。もう仕方のないことだと思っています……」

 リリィの声は、最後には弱々しくなり、消えてしまいそうでした。
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