古城の姫君
「王子! あなたには」

「わかってるよ! 俺には婚約者がいるから、そんなことすんなって言いたいんだろ?!」

 ジンジャーの言葉をさえぎって、クロークスが言いました。

 告白されたリリィは少し戸惑っています。

「俺には婚約者がいて、国に帰ったらその人と結婚しなきゃならない。でも俺はその人のことが好きなわけじゃない。親が勝手に決めた人と結婚しなきゃならないんだよ。
 だから、今ここできっぱり返事してくれれば、何も思い残すことなく国に帰れる」

 そう言ってクロークスは、リリィの返事を待ちました。
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