古城の姫君
 リリィはクロークスの視線を受けとめず、そらしたまま言いました。

「……あなたとお付き合いはできません。嫌いじゃないけど」

 それを聞いたクロークスは
「うん、わかった。あーすっきりしたっ!」
 と、自分の気持ちをふっ切るかのように言い、無理やり笑顔をつくりました。


 トレーラーハウスに戻ったクロークスとジンジャーは、国への帰り支度を始めました。
 
 運転席に座ったジンジャーは、隣で落ちこんでいる様子のクロークスに話しかけず、黙っていました。

「……俺は、戦争のない、みんなが笑って幸せに暮らせる国をつくれるかな」

 不意に助手席に座っていたクロークスが言いました。
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