古城の姫君
「できますよ、クロークスさまなら。私も協力します」

 と、ジンジャーはクロークスに顔を向け、力強い声で言いました。

「ありがとう。これからもよろしくな」

 クロークスがそう言うと、ジンジャーはかすかに微笑みました。

 
 二人を乗せたトレーラーハウスは、アプリコット城をあとにしました。
 
 窓ガラス越しの風景を眺めながら、クロークスは物思いにふけっていました。

(あの人は10年もの間、どこでどうやって生きてきたのだろう)

 国を破壊され、王女という身分を失い、両親と親友を殺され、その親友の名前を名乗り、たった一人で生きてきた。
 マリーベル王国の生き残りとして、自ら死ぬこともできず、たくさんの殺された人たちの分まで生きなければならなかった。

(なんて強い人なんだ……。俺にはそんなこと……できない……)

 
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