古城の姫君
「……カルミア」
リリィは、カルミアに声をかけました。その声はとても暗いものでした。
「お父さんは自分だけ死ぬつもりなのよ。そんなのひどいわよ。……ねえ、お母さんはどこにいるの、もう逃げたのよね? 先に逃げたのよね?」
だんだんと早口になり、声が大きくなりました。
「落ち着いてください」
リリィとは正反対に、カルミアの態度は冷静そのものでした。
カルミアは部屋の隅に置かれた大きな箪笥(たんす)に手をかけ、両手で力いっぱい押し始めました。女の子一人の力で動くほど、この箪笥は軽いものではありません。それでもカルミアはあきらめず、箪笥を押し続けました。
すると、少しずつですが、箪笥が横に動きました。
それを見ていたリリィも箪笥に近寄り、カルミアといっしょに無言で箪笥を押しました。
リリィは、カルミアに声をかけました。その声はとても暗いものでした。
「お父さんは自分だけ死ぬつもりなのよ。そんなのひどいわよ。……ねえ、お母さんはどこにいるの、もう逃げたのよね? 先に逃げたのよね?」
だんだんと早口になり、声が大きくなりました。
「落ち着いてください」
リリィとは正反対に、カルミアの態度は冷静そのものでした。
カルミアは部屋の隅に置かれた大きな箪笥(たんす)に手をかけ、両手で力いっぱい押し始めました。女の子一人の力で動くほど、この箪笥は軽いものではありません。それでもカルミアはあきらめず、箪笥を押し続けました。
すると、少しずつですが、箪笥が横に動きました。
それを見ていたリリィも箪笥に近寄り、カルミアといっしょに無言で箪笥を押しました。