古城の姫君
 ラティスフォリアに帰ってきたクロークスは、まず最初に
「アプリコット城の敷地に墓地をつくってほしい」
 と父親のアスターに直接頼みました。

 それから数日後、クロークスの望みがかない、アプリコット城の敷地に共同墓地がつくられました。

 労働者の男たちが、かたい地面を掘りおこし、墓石を運び、遺骨を埋葬しています。黙々と作業をこなす彼らの額から、とめどなく汗が流れ落ちていました。

 そのとき、風が吹いて、敷地内にあった桜の木がざわざわと揺れました。

 すると、あたりに桜の花びらが舞い落ちて、それはまるで美しい雪のようでした。

 労働者の男たちはしばし作業をやめ、桜の花びらに見とれていました。



 
 
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