古城の姫君
 昼を過ぎて、ようやく一人、宮殿の前に人が現れました。

「国王陛下、一人来ました」
 家来がクロークスに報告しに来ました。

「よし、じゃあ大広間に通してくれ」

 クロークスとカンナは大広間に向かい、二人は並んで王座に腰かけました。
 
 家来に連れてこられたのは、60歳ぐらいの老婆でした。
 着ている服はところどころ汚れたり破けたりしていますが、見た目はごく普通の年老いた女性です。

「本当に魔法が使えるんだろうな? もし嘘をついていたら、すぐにこの宮殿から追い出すからな」
 家来は老婆を不審に思っています。

 すると老婆はふっと笑みを浮かべ、
「こう見えてもこの国に昔からある魔術は、ひととおりできるんだよ。見た目で判断するんじゃないよ」
 と家来に向かって言いました。
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