古城の姫君
「それなら証拠を見せろ」
 家来はこの老婆がほうび目当てでここに来たと思いこみ、横柄な態度をとりました。

 老婆は小声でぶつぶつと何かをつぶやき始めました。大広間は静まり返り、老婆のつぶやきだけが聞こえてきます。それはどこかの国の言葉のような、意味のわからない言葉でした。

 やっと老婆がつぶやくのをやめました。

 そのときです。

 家来の腰にあった剣のさやが突然ベルトからするりと抜けて、ひとりでに動きだしました。
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