古城の姫君
 そのときです。
 どこからともなく風が吹いてきました。

 その風はトレニア国の兵士たちに向かって、たたきつけるように吹きました。まるで風に見えない手があるかのように、馬に乗っていた兵士たちを馬から落としていきます。
 
 落馬した兵士が再び馬に乗ろうとしますが、強い風のせいでその場に立っていることすらままなりません。

(なんだこれは。こんな風、吹くはずがない。
 まさか……)
 
 スウォードはたづなにしがみつきながら、4人の女性が立っているほうを見ました。
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