古城の姫君
 よく見ると、4人の女性が前に両手を出し、てのひらをこちらに向けています。風はそこから吹いてくるようです。

(これは……魔法だ!)

 その瞬間、スウォードも強風に吹っ飛ばされ、落馬してしまいました。

「陛下! 大丈夫ですか?!」

 遠くからベゴニア将軍が大声で言いました。すでに馬から落とされ、強風に体を持っていかれないよう、たづなをしっかりと握っています。

「大丈夫だ」

(戦うこと自体したくないというわけか。ラティスフォリアの国王はどこだ)

 スウォードはたづなを握り、4人の女性の後ろにいる男性2人に視線を移しました。

 2人とも王冠をかぶっておらず、鎧を身につけてもいません。武器といえるのは腰にさした剣ぐらいで、ただ乗馬しにここへ来たかのような軽装です。
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