古城の姫君
 このままではらちがあかない、いつかは兵士たちが疲れ、こちらが撤退せざるを得なくなるだろうと考えたスウォードは、国王同士一対一で戦うことを決めたのです。

 それを聞いたクロークスは、少しの間遠くを見つめ、何か考えているような顔をしていました。
 が、すぐに馬から降りると、前に進み出ました。

「クロークスさま」

 心配そうな顔でジンジャーが声をかけましたが、クロークスは何も言わず、かすかに口角を上げるだけで、すぐに前に向き直って歩き始めました。

「もういいです。彼と話がしたいので、風を止めてください」

 クロークスは魔法で風を吹かせていた4人の女性たちにそう言って、さらに歩いていきます。
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