古城の姫君
「逃げる気はないらしいな」
 
 スウォードが見下したような態度でクロークスを挑発しました。が、クロークスは黙ったまま、無表情でスウォードを見ています。

 あたりは不気味なほどしんと静まり返り、二人に視線が注がれました。

 と、そのとき、ウウォードが身につけていたよろいに手をかけ、脱ぎ始めました。

「これのおかげで勝ったなんて言われたら情けないしな。正々堂々やろうじゃないか」

 それに対し、クロークスは何も言いません。
 スウォードが地面に鎧を脱ぎ捨てると、ガシャンという金属音が響きました。

 二人は無言でお互いの顔色をうかがっています。
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