古城の姫君
 それを見たスウォードは心の中で
(勝てる!)
 と確信しました。

 クロークスは左手で傷口を押さえています。

「俺が勝ったら、この国はトレニアの領土にさせてもらう。ひとつの国に王は2人も要らない」

 その口ぶりには、すでに勝者になったかのような余裕がありました。

「……も、……させない」

 クロークスがつぶやきました。が、声が小さく、スウォードは聞き取れません。

「もう降参するのか? 国王のくせに情けないな」

 スウォードがクロークスをあざけって笑みを浮かべると、クロークスはスウォードをにらみつけました。
 その目つきはまるでタカのように鋭く、スウォードは一瞬、その目つきにひるみました。
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