古城の姫君
 その行動が理解できず、スウォードが怪訝な顔をすると、

「俺は国王になる前、ある人と約束した」
 
 と、言いました。

「その人は俺の父親に家族と友達を殺された。それでも、自分と同じような悲しみを誰にも味わってほしくないから、二度と戦争をしないでほしいと俺に言ったんだ。
 だから、俺は殺さない」

 言い終わると、クロークスは剣をさやにおさめました。

 スウォードはその言葉にあっけにとられました。
 戦争をしかけられた国王が、自分が勝ったにもかかわらず、敵国の国王を殺さないと言うのです。
 
< 97 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop