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穏やかな調子が、おばあさんが語るおとぎ話にも似たお話。 簡単に説明するなら、これはそんな物語です。 穏やかな語り口に残酷さを秘めているところも、口伝えの童話を思わせます。 十年前に滅んだ王国。 滅ぼした国の、呑気な王子。 滅ぼされた国の、独りぼっちの王女。 戦争から平和へ。 お話はやわらかなカタルシスを含んで終わりますが、私には実は、気になることがひとつ。 孤独な王女の、しあわせのこと。 滅びた王国の悲劇を王女に見せつけられ、戦争を忌むようになった王子。 彼は、理解者に囲まれ、信じた道を生き、しあわせになれたのだな、と思います。 でも、王女は? 彼女も、意思を貫き生きたとわかってはいるものの、なんとなく、寂しいなあ、と思ってしまったりするのです。 そんな王女への思い入れもあいまって、印象的なお話でした。
かつて起こった戦争と、今まさに勃発寸前の戦争… 2つの戦争を巡って、「守るべきもの」とは何かを読者に問い掛けます。 丁寧な描写と、全編を通じて語りかけるような文章が特徴の作品です。 あなたの「守るべきもの」について、考えてみませんか?