【TABOO】こうなることはわかっていた



私と男、二人だけしかいない喫煙所。

私も男も無言のまま。


二人の間に流れるのは
煙草が燃えて毒を吐き
灰になってゆく時間と……
壁の向こうの賑やかな声だけ。


BGMの様に聞こえ続ける、壁の向こうの賑やかな声に混じる嬌声が、時折大きくなる。


私の口の端が無意識に歪み上がる。


『この苛々は何?ここに来たこと?それとも……目の前の男?』


ふと視線を上げると男も同じような表情を浮かべていた。


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