【TABOO】こうなることはわかっていた



ふいに男が
「ふっ」
と小さく笑った。


私は目線を上げる。


「俺、こういうの苦手なんだ」
男は顎で壁を指した。

私も顎で壁を指しながら
「私も苦手」
そう答えると、肩の力が抜けて……思わず
「ふふっ」
と笑った。



私達は何となく……
何となく……
照れたように笑った。



「店、出る?」
「出たいけど友達の顔潰すことに……

――壁の向こうの嬌声が一段と大きくなった――

……ならないか」


私達は笑った。







やがて――

二人の笑い声は止まり

二人は見つめ合う

二人の視線は熱く絡み合う

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