さよなら世界
タイトル未編集
電気が薄暗くついた自分の部屋で今日もあたしは別に死にたい訳でもなく 昨日新しくカッターで手首に傷をつくる。


つうっと痛覚が手首に集中されてじゅわっと赤色の血が出たとき あたしはなんともいえない気持ちになる。ああ、楽しい どうしようもなく楽しい。こういうのを気分が高まるとでもいうのだろうか。

いわゆるリストカットである

死にたいか、と聞かれればそうでもないが、別に生きたくもない。
なぜリストカットをするのかと聞かれれば、特に理由もない。
ただ切りたいという衝動だけがここにある


 ああ、血がでてきた
どうやら今日は深く切りすぎたようだ
生理用品で止血したほうがいいかもしれない。


その時、唐突に携帯のバイブレーションがなった
あたし、結城夏帆はカッターを手放し、変わりにバイブレーションがなる携帯を開く。

差出人 橘 千尋
件名 無題
本文 明日までに15p~30pのワーク終わらしといて下さい。


橘からメールが来た。 橘はのあたしの通う塾の講師をしている人間だ。
彼はまめな人間なようで宿題の確認を塾の前日に塾生に一斉送信でメールしてくる。

正直な話、あたしは宿題を先にやる派なのでこの確認メールは迷惑極まりない
しかし、高3で受験を控えている私達を気遣っている気持ちは、素直にありがたいとは思う。

返事を返すのも面倒になり 携帯を閉じた。
わかりました。と簡素なメールさえ打つもなんだか億劫だ


…なんだか、リストカットする気が失せた。
いいや 今日はもう寝よう
今日は止血だけして寝よう。
止血も面倒だがベッドのシーツが汚れてしまうほうがもっと面倒だ


あたしは 机の引き出しに入っている生理用品と包帯を取り出した。





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