それ以上は、ダメ。
それ以上は、ダメ。
「やっ…こんなところでダメ。誰かに見られでもしたら…っ」
「…ふっ。バカ言うなよ。そのスリルに感じてるのはお前だろ? いいじゃん、見せつければ」
「お願い、やめて…」
「聞かない」
あたしの声が彼に届いていないことは分かりきっている。
むしろ彼にとっては絶好の餌だ。
嫌がれば嫌がるほど彼のキスや愛撫は激しくなる一方で、対するあたしは、それらから逃れる力を削ぎ落とされていく。
誰もいなくなったオフィス。
内側から鍵をかけて密室を作り上げたのは、ついこの間、支社から異動してきたあたしの上司。
…兼、元カレ。
数年ぶりに会った元カレはさらにスーツの似合う男になっていて、同時に、この通りの容赦のない男にもなっていた。
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