それ以上は、ダメ。
「あたしには彼がいるのっ。それなのに、どうしてこんなこと…」
腕の力が緩んだ隙になんとか彼を押し戻し、溢れそうになる涙をこらえながらキツく睨む。
服は乱れ、グロスは全て舐め取られてしまい、舌にはまだ元カレの感触が色濃く残ってはいる。
けれどあたしは、それを必死にかき消しながら再度。
「あたしには彼がいるのっ。だからもう、こんなことしないで」
強く言い切った。
すると、今までほとんど無表情を保っていた元カレの顔が嬉々としたものに変わっていった。
「それそれ、その顔。他人のモノだから余計にソソるわ。…お前の全部、奪い取ってやりたくなる」
「ん…っ」
言い切るのが早いか、また唇を塞がれるのが早いか、しっかりと両手で頭と腰を押さえられては、息をするのさえ難しい。