明日ここにいる君へ
学校の…、教室。
いつものように、私の机の周りには女子数名が集まって…。
ガールズトークを繰り広げていた。
「てか、悠仁くんが昨日、『あの』松浦先輩んトコ振ったんだって!」
「…え!マジで!」
本日一番の話題は……
どうやら、コレに決定。
「こっぴどくフラれたらしーよ。ウザいとかって。」
「わあ…。でもあの先輩も男に媚び売ってる感じじゃん?性格の悪さ見抜かれただけじゃないの~?」
噂って怖い。
尾ひれがついて…、広がっていく。
悠仁も、常盤くんも、わざわざバラすメリットは…、ない。
って、ことは…噂の発信源は、振られた先輩…張本人。
『悲劇のヒロイン気取りかよ…。』
などと…、思ってみたけれど。
もちろん、黙って置いた。
「…けどさあ、松浦先輩が振られたってことは…。一体誰なら好きになって貰えるんだろうね。」
「言えてる!」
その話題には……。ちょっと興味がある。
昨日の反省を忘れて…
ついつい身を乗り出して話を聞いていると……。
「……ちょっ…、七世。」
「……?何?」
シンが声を潜めて…私の肩を、ちょうんちょん、と叩いてくる。
不意に、顔を上げると……。
「………………??!」
廊下側の窓……。
その縁の手摺りに頬杖ついて。
じっと教室の中を……、
イヤ。
私を見つめる……
一人の男、登坂…悠仁。
「「………………。」」
まるで根競べするように…じっと見据える。
内心、動揺しているものの…
この男のペースに巻き込まれてはイケナイ。
「…あ、ねえ。七世とかアリなんじゃない?性格いいし、気立ていーし、実は美人だし。でも…、色気がなあ…。流石にこの貧弱な身体じゃあ悠仁くんかわいそうだもんなぁ…。」
「あはは、言えてる!」
「……………。」
何も知らない女子の皆さん…。
無邪気にも程が……。
何も返事がないのを不思議に思ったのか、
彼女達は、いよいよ私の視線を…辿っていく。
一同――…
沈黙……。