明日ここにいる君へ
「…………。まあ…、二人で考えたようなもんか。」
……その発言は…危険だって!
しかも……、私を見るって…どういう意図?
「…それって…、彼女?」
シンは更に突っ込む。
私は既に冷静を保つ術を失って……、
内心、ハラハラ。
「……トイレ!!」
とうとう逃げ道の確保に…、乗り出した。
「……?行ってらっしゃ~い。」
クラス中の視線を浴びながら、その花道(?)を突き進んでいると……。
その、背中に届いて来たのは……。
「…一緒にいたいって思えるような…楽しい奴、かな」
悠仁の……
低くて、やけに落ち着いた声。
「……え……?」
思わず……足を止める。
今の……
何……?
「うちのナナに似てるんだよね、そいつ。普段素っ気ないくせに、気まぐれで近づいてきたり…、懐いたかなって思えばするりといなくなる。押したり引いたりは手口かっての。」
「……ねえ、悠仁くん。それってゴメン、遊ばれてるんじゃないの?」
それは……誰のこと言ってるの?
「あ。そういうこと?そんな器用なヤツでもないんだけど、割と誰にでもいい顔すんのは少しどうかと。」
「……………。」
「結構…俺は気に入ってるんだけどね」
「悠仁くん……。」
気に入ってる……?
それって……。
「悠仁くん、寂しそう…」
「…や、さみしいとかじゃないけど。」
「いーや、女の敵だね、あざと可愛いってヤツだわ」
「……ていう話、シンちゃん信じる?信じない?」
「ん?ちょ、悠仁くん?」
「あまりに真面目に聞いてくれるから、つい」
「……やられた…」
悠仁とシンは楽しそうに笑いあっているけれど…。
恐らく彼が言ってるのは私のことで……。
けれど、みんなは知らなくて……。
こんなことを突然言われたって……。
どう接したらいいのか…
わからない。
冗談か本気かもわからない。
ずるい、ずるいよ、登坂悠仁。