明日ここにいる君へ




言葉を選んでいるのか…、


彼は、ゆっくりと丁寧に…


話していく。




「……話す度に、違う顔見せられてさ……。折角わかったつもりが…いつも振り出し。こんな女もいるんだ…って思わせたのは…アンタが初めて。いつまでたっても掴めそうにもないけど…、正直、気になり過ぎて駄目みたい。」




「……ええーと…。」




「…何言いたいんだって思ってんだろ。」




「……ハイ。よく…わからない。」




「……ただ、もっと一緒にいてみたい。それだけ。」




「………?」



「見てみたい。アンタが心を動かす…その瞬間を。」



「…………。」




「言ったよね。アンタのこと気に入ってるって。」



「…うん。」





「……嘘じゃないよ。」





「…………。」






なんて……

言葉を返したら……?






彼は私が嘘をついていることも……


気づかぬ間に、彼に気を遣っていたことも……



全部全部知っていて。




それでも……




一緒にいてみたいと…?








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