明日ここにいる君へ
「75日……ね。」
一つの季節が過ぎ去っていくのと一緒に…自然と消えていくハズの噂。
…笑えない。
たったの…75日。
消えてなど……しまわないで。
「………櫻井…?」
悠仁の声で……
ハッと我に返る。
「……バカ……。バカ悠仁。」
「……悪かったな。」
悠仁は……
ひと言、呟いて。
その場に立ち尽くす私を置いて…先を歩いた。
「…………。」
悠仁が残したのは。
『パタパタ』と鳴らす…不機嫌な足音。
よく見ると…、学校指定の内履きの踵を潰して。
スリッパのようにして… 履いていた。
またひとつ……
君のことを知った。
前とは明らかに違うんだ。
こんな足音にさえも……
敏感になってしまうのだから。