明日ここにいる君へ

事無かれ主義……？




「シン。こっち見て。」


「………。」


「シン！」


「……七世が…それを言う？」


「…え？」





シンはゆっくりと顔をこちらに向けると……



ほてった顔。
ちょっと消えかけた眉毛を…少し垂らして、



「七世。アンタとこうやって面と向き合った時って…あったかな。」



「…………。」



彼女の目の下の泣き黒子が、まるで寂しそうなその表情を…より演出しているかのようだった。




「…………。」


「…気になることでもある？それって自分の体裁の為？」



「……シン……？」




「楽しければ…それでいい。事を荒立てることはない。楽な関係でいる方が…傷つかなくていい。なら、私のこんな卑屈な態度も気にしなくたっていいんだよ。」



「……でも…」


「大丈夫、別に何も変わんないから。」


「……『変わらない』？」



「うちらは友達。それは…多分ずっと変わらない。」




「…………。」




でも……、



でも、シン。


私はきっとアナタを傷つけている。


それでも…変化を求めないの？


それとも、諦めてるの？



割り切った関係を…求めているの？





「………。シン、私…、登坂悠仁と友達になった。」



「……うん。知ってる。興味なさそうだったのにね。」



「……シンが…彼を気にしてるから、私も気になったんだと思う。」



「………。」



「友達の好きな人。ずっとそんな風に…見てきたつもりだった。」



「………。」



「今は…そうじゃない。ムカつくことも沢山あるし、何でって自分でも思うんだけど…目を離せない。感情を抑えることができない。あの人といると、自分をコントロールできない。」



「………。」



「これが…『好き』って感情だと思った。シンが何度も教えてくれた…特別なモノなんだって。」




「……………。」



「…ごめん、勝手だよね。でも…どうしてもシンには言いたかった。自分でまいた種だし、謝ったってどうにもならないことかもしれない。でも…感謝してる。」



「…………。」



「真っ向から、向き合える関係になりたい。あの人とも…シンとも。」