明日ここにいる君へ


「…え?まだ少ししか食べてないじゃない。」



「うん。今日あんま食欲ないんだよな。」



「……?具合悪いの?」



「周りがぐちゃぐちゃうるさいから気分はイマイチ。」



「…いや、そーじゃなくて…。」



「…や、むしろ胸いっぱいってヤツかも。」



「…は?」


「アンタの食べる姿があんまりにもおいしそうだったから…ソレ見れただけで満腹。」



「…は、……はあ?!」



「まあまあ、いーからお前は集中してゆっくり食えよ。」



「でも……」



「見ててやるから。」



「余計集中できないじゃん。」



「…じゃあ周り睨んでおく?うっとおしいし。」



「ヤメテ。事を荒立てるのだけは。」



「ははっ、さすがは八方美人な七世チャン。」



「……馬鹿にしてんの?」



「ううん、ディフェンスしとかないとなあって。」



「……。ロッドマン目指してんの?」



「……なんでやねん。」








……………。



いつもと変わらない態度。


飄々とした顔つき。




でも………、


目が笑っていない。



もしかしたら、本当に体調が良くないんじゃあ…?




「……。自分が食べれないのに…何で私を誘ったの?」



「…………。うん。元気でるかなって思って。」



「…………。」




「アンタをからかうのが俺の日課。それがないと調子が出ない。」



「さいですか……。」






ふざけているんだか、なんだかなあ……。















それでも、こうして向き合うだけで……


喉がカラカラに渇く。




私も迂闊だったかもしれない。



好きな人とご飯を食べるって…


こんなに緊張するものだとは。





「…ねえ、悠仁。」


「ん?」



「…飲み物なら飲める?」



「……多分?」



「あ、そう。」






私は席を立ち上がって……

生徒ホールにある自販機にダッシュする。




ペットボトルを2つ抱えて、そのうちのひとつを…



君の前に差し出す。




「……。なに?くれるの?」



「うん。」



「…ありがとう。」



手渡す瞬間に……


悠仁の手が触れる。




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