明日ここにいる君へ
悠仁とですら、ためらったことだ。
ただ、教室に向かうだけなのに…
「付き合ってるんじゃないなら、罪悪感なんて感じなくていい。」
「………!」
「俺とじゃ、隣りを歩けない?…友達じゃん。」
「………。」
「……。困らせた?」
「……ううん。」
「……じゃあ…、行こっか。」
私の足元は…、パタパタと、音が鳴る。
君が隣りにいないから…
君が居るその足音を、勝手に…演出する。
「………。悠仁と同じ歩き方。」
「…………!」
彼の親友が、それに気づかないハズもなく…
「悔しいな。」
優しいのに、射抜くように見つめてくる瞳に……
気まずさは拭えなかった。
「……。たまに…あるんだよね、こういうこと。」
「え?」
「中学ん時にも…、数日音信不通になったことがあった。」
「………。」
「大丈夫。そん時はいつも…、何でもないって顔して戻って来るから。それに俺ら友だちに言わないだけで、ちゃんと大人には連絡してたしね」
「………理由は…?」
「さあ…。あいつは肝心なことを…いつも言わない。あの性格だし、ホントまるで何事もなかったかのように…ケロッとしてるんだ。自分の中で、何かを消化したのか……。…聞くことで、解決できるんじゃない。自分で解決できたから…戻って来た。そんな感じかな?」
「……。じゃあ…、戻って来なかったら?」
「…………。」
「戻ってこなかったら…、それは、どういうこと……?」
「………。心配?」
「………!」
「大丈夫だって…、言ったのに。」
「…………。」
「どうして…、そんなに不安そうな顔するの?」