明日ここにいる君へ
人っていうのは…、案外関わってみないとわからないものだと…、思った。
普段大人っぽくて、紳士的に見える常盤くんも…、蓋を開けてみれば、こんなちっちゃなことでムキになる、子供っぽさも…実は持っていて。
知ってしまえば、相手の裏を読もうだなんて邪な考えさえ…、浮かんで来ない。
良くも悪くも、警戒心が働かなくなることが…こんなにも楽だなんて。
「へったくそー。」
途端に。
私達の頭上から……、そんな声が、降って来た。
気を抜いていた私は、どんな間抜けな顔して…そっちを見上げたのだろう。
皆が、視線を移す…その先。
体育館のギャラリーへと、顔を上げた…私に。
その声は、容赦なくもう一言、付け加えた。
「なに、そのカオ。」
ナニって……、何?
「……………。…七世じゃ、常盤の相手として役不足過ぎんだろー?」
再会にその仕打ちは…、酷くない?
「……十分だよ。逆に俺の方が役不足だって思われてるかもな。つーか、ギャラリーは黙ってろよ。高見の見物でもしてな。」
常盤くんの、キラーパスに。
相手……、悠仁は。
ニヤリ。と、笑ってみせた。
「うるせーよ!つーか、…『ただいま』。」
その瞳は…。
明らかに、私の姿を―…捕らえていた。
「……おか…」
私が、ようやく口を開きかけたその時には――…、
君はもう、そこには居なくて。
体育館の入り口から、みんなに囲まれて…入って来るのを。ただ黙って――…見守る他なかった。