明日ここにいる君へ



「つまんないな……。」



学校を休むなんて…、初めてのこと。


至って健康体で、コレといった悩みもなくて。


平々凡々と…、淡々と、生活してきた。

趣味なんてものもなく……、暇が有れば勉強に時間をあてたくらい。


こてまで膨大にあった時間が、いかに空虚であったかが……身にしみる。







遠い昔に…一度。


たったの一度きり。


まだ、幼稚園時代の話だけれど。


集団生活から…離脱した時があった。







「……………。」


母が言っているのは、あの時の…ことだろうか?



けれど私の中では、決して…苦い思い出でも、退屈な時間でもなかった。

寧ろ……、


非日常的なその日々は。


幼いながらに…楽しかった、と、脳が記録している。



漠然とした記憶だけれど、

もう……、断片的にしか思い出せないけれど。




甘くて、ちょっとだけ…酸っぱい……、そんな日々。



あの時の私は…、確かに…笑っていた。





なのに、こうして…思い出そうとしないのには。

心の引き出しに……閉じ込めたままにするのには。大きな…理由があった。


この、すぐ直後には……



悲しい出来事が――…待っていたから。



























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