明日ここにいる君へ








『おばあちゃん。』




少しだけ、白髪の混じった……ネコ毛。


穏やかに…微笑んで、



彼女の目尻には、いつもいつでも…シワが寄って。


私に見せる、その柔らかい笑顔が…


大好きだった。






『なあに?』



なのに………



その雰囲気にそぐわないモノが。



ぐるぐると…渦を巻いて、彼女の頭の上へと…まとわりついていた。





『ねえ、どうしておばあちゃんの……』













しわしわの小さな手が……私の頭を撫でて。








諭すかのように、ふんわりと…私を包んだ。



それは……とても、寂しそうで。



けれど……1つの濁りもない、澄んだ…瞳をしていた。




遠い…、遠い、何処からか…

ぽちゃん…、と水が溢れる音が――…聞こえていた。



雨上がりの…庭。

朝顔の花びらから…水溜まりへと、雫が滴り落ちた音――…?









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