明日ここにいる君へ
入院していたのは……、脳神経外科。


周りはほとんど大人ばかりだったから…、私たちは必然的に仲良くなって。よく一緒にいるようになった。




「ナナちゃん、黄緑かして?」



貸した黄緑色で……

きみなりくんは、私のより太くてギザギザとしたビームを…描いていた。



「うわあ~、きみなりビーーム!!」


「これは『きみどりシュート』だもん…。」


「……あ。ホントだー。」


ビームの先に…ぐるぐると円形に殴り書きされた物が…敵の身体めがけて飛んでいた。


おばあちゃんっこの私と……


かたや、おじいちゃんっ子だったきみなりくん。


今にして考えると、すごく物知りで、現実主義っぽい所があったように…思えるけど。

たまに笑うと……ものすごく可愛くて。


私は、笑わせることに…必死だった。




多分…、心の何処かで。


彼を蝕む病気が…私のそれよりも重たいものだって、感じていたから。


きみなりくんが…効くって言っていた薬。


それを…しているときは、ほとんど話もできなくて…。


代わりに、苦しそうな嗚咽の声が聞こえていた。












そう言えば、



彼の大好きなおじいちゃんには…会ったことがないような…気がする。













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