明日ここにいる君へ

やがて悠仁は、周囲に何かを伝えて、席を…立った。




見ていたことがバレないように。私は急いで…前へと向き直す。


ペタ、ペタ…と……悠仁が歩く音が、聴こえて来た。




ピタリ。と、一瞬…音が止んで。


それとほぼ同時に…



私のアタマに、バサリと雑に放られたものがあった。





また……、



ペタ、ペタ、と、ちょっぴり早足ぎみに…音が通り過ぎていく。




「…………?」



私は…顔を前に向けたまま、手だけを…アタマに移動させた。




「……タオル…?」


メーカーのロゴが入った…スポーツタオル。






『スゲー汗。』


悠仁の言葉が……脳裏に浮かんで来た。




「コレで…拭け、と?」


好きな人のタオルに、そんなこと出来る訳…




「バカ……。」



急激に恥ずかしくなって……
タオルに、顔を埋める。



タオルからは、ほんのりと……君の香りがした。







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