明日ここにいる君へ
放課後……、
私は帰り支度をしながら、ソワソワとしていた。
一日の…終わり。
悠仁が、何かアクションを起こすんじゃないかって。
だけど、ここでも…君は私のことなどお構いナシに。
鞄を持って…席を離れて行く。
私はわざと教室の入口へと先回りして、君を…待った。
君はいよいよ足を止めて…、
そこでようやく、目と目が合った。
何て声を掛けようか…迷っているうちに。
すぐ傍を……風が掠めて行った。
「あの…………」
「……何?」
「……………。」
「……七世。」
「…………!」
「じゃーね、また明日。」
「………。………うん、また、明日…。」
言ったすぐ側から……後悔の波が押し寄せて来た。
臆病者。
そんな言葉が…ピッタリだ。
君は…1度も振り返ることなく、廊下の向こう側へと…消えていく。
「……まだ……、1日が終わった訳じゃない。」
拳を握りしめて…、悠仁の後ろ姿を、見送った。
こんな一日で…終わらせたくない。
話し掛けるチャンスなんて、いくらでもあったはずだった。
私は、君を追うようにして…
まっすぐ、まっすぐ、走って行った。