明日ここにいる君へ
君が差し出して来た…ペットボトル。
灼熱の空の下、
それは…まるで私の気持ちを象徴するかのように……、じんわりと汗をかいて。
渇ききった喉を潤すのには…少し、もの足りないくらいだった。
「…これ…、ありがとう。」
「おー。」
悠仁へと…ペットボトルを返す。
「……暑いね。」
「……そう?…まあ、七世は基本インドアだからな。」
チラリ、と見た君の横顔は…
少し日に焼けて、この熱をものともしないような…平然としたカオ。
「………。アンタもインドアなスポーツしてるじゃない。」
「まーな。……『するもの』はそーだけど。」
「……………?」
「観るものは、違うんだな―…、コレが。」
週末……、
部活帰りだった悠仁から…メールが入った。
それは…、駅に直ぐに来るようにって言う内容で。
突然の呼び出しに…、少しの期待と、大きな緊張を抱えて…家を出た。
待ち伏せしていた悠仁は、バスケ部員揃いのジャージと。いつもの、ボールを入れた鞄をさげて…
私に会うなり、何の説明もないままに…、電車に飛び乗った。
着いた駅は。
小さな小屋いっこだけある…無人駅。
そかから、黙々と……歩いて。
かれこれ…30分。
たどり着いた場所は…まるで、お祭りの会場のように、グッズショップや屋台が並ぶ…総合スポーツセンター。その、敷地内…。
入口に設置されたゲートには、地元チームの名前と…マスコットキャラクターが描かれていて。
いくら私が疎いとは言えど、どんな場所であるのかは…予測はできた。
そこの…スタジアム。
スタンド席に。
私たちは今、肩を並べて…座っている。
「…………。ねえ、私たち…思いきっり浮いてない?」
「ハ?何で?」
「アンタは、バスケのジャージ。私なんて、ショートパンツ。」
「………。いいじゃん、短いの。俺は気にしないけど?足のむくみなんて。」
「………。変態、そこじゃないし。」
私は慌てて…、隣に置いていた鞄を取って、自分の太ももの上へと置いた。
「ブルーのユニフォーム一色。これじゃあ悪目立ちだよ。」
「目立った方がいいんだよ。」
「……?」
「あ。」
「なに?」
「七世、顔…真っ赤。」
「………!
思わず両手で…頬を覆う。
……なるほど、確かに…熱を持っている。
「………?色白だから…焼けると直ぐ赤くなるタチなんだろ?」
「………。あ、うん。ってか…そっちか…。」
「ん?何だ、照れてんの、指摘されたと思った ?」
意地悪だ、分かってるなら…わざわざ言わなくていいのに。