明日ここにいる君へ
今日は…、悠仁との約束がある。
ただ、何時に会おうとか……、どこに行くだとか、そういった取り決めは…していない。
だから、いつ、何時に…連絡が来ても。すぐに会いに行けるように――…、と、心に決めていた。
妙な緊張感で…寝れなかった。
「あれ…?お母さん、今日休みなの?」
キッチンのコルクボードに貼られた、母の勤務表に、×と記載されている。
いつも慌ただしくしている母が、どうりで…朝からのんびりと珈琲を飲んでいる訳だ。
「そう。アンタは?」
「え?」
「何か、予定でも…?」
「……うん。予定は…未定。でも、ここにいる。ここにいなくちゃ。」
「誰かと…約束でも?」
「………ん。」
「……そう。」
「ねえ、七世。アンタ……」
「え?」
「……ううん。なんでもない。どうせ暇なら…、あの時計の時間の合わせかた、アンタに教える。」
「お母さんの仕事でしょ?」
「気になる人が、直せばいいわ。あれだって、時間をとるんだから。」
「結局めんどくさいんじゃない…。」
「……いいから、覚えときなさい。」
そんな…母の提案で。
朝食の片付けが一段落したあとに、珍しく二人で…座敷に向かうことになった。