明日ここにいる君へ
コンビニにて新商品のスイーツをゲットして。
上機嫌で、帰路につく。
空はどんより曇り空。
もうすぐ……梅雨の季節がやって来る。
じめじめした空気は……
雨が降るから……?
そんな予想は、見事に的中。
ぽつり、
ぽつりと…雨が降り出して。
途端に、ザーッと音を立て。
ソレは…滝の如く降り注いできた。
「……嘘でしょ~っ?!」
傘なんて…持ってない。
アスファルトにできた水溜まりを蹴りあげて…
私は、走って、走って、走る……!!
途中、近道をしようと。
売地の看板が立つ空き地に…足を踏み入れる。
……と。
その時だった。
足元にチクチクと纏わり付く草の茂みの中から……
微かな鳴き声が…
聞こえてきたのは。
靴はもうドロドロ。
服だってそう。
全身びしょ濡れで、今すぐにだって帰りたいはずなのに……。
私はピタリ、と。
足を止めた……。
小さな呻き声を頼りに、
声の主を探すと……。
「………いた!」
背の高い茂みの中に隠れるようにして…、
段ボールに入れられた、小さな子猫を見つけた。
中にはいっていたタオルはもうぐちょぐちょ。
「……捨て猫……?」
冷たい雨に打ちひしがれて。
真っ直ぐに…私を見つめる。
まるで……
訴えかけるように。
「………せつないね…。」
私はしゃがみ込んで、猫の頭を撫でる。
その頭上に……
黒い影。
「…助けてあげられない。」
もうすぐ無くなる命。
今情けをかけても…、
虚しいだけ。
私は、瞳を逸らして。踵を――返す。
一足、一足…、離れて行くのに。
その音は、何処までも背中に追い付いて来る。
君は…
何を期待しているの?
不意に足を止めて。……振り返る。
姿は見えなくとも、
聴こえるのだ。
その存在を―…認めよ、と言わんばかりに。
立ち去る勇気は…無かった。
これまでとは違うのは。
少しでも……
なんとかしたい、と思う気持ち。
「……待っててね。」
後ろ髪ひかれながら……
私は元来た道を…戻っていった。