明日ここにいる君へ
キャットフードを食べる名無しを見てたら、
ぐううっと私のお腹が鳴った。
「…食べる?」
キャットフードを指さして、君が笑う。
「それより、甘いものが食べたい。」
そう返した私に、
「そう言うと思って、シャンプー買いに行くついでに買っといた。」
彼が冷蔵庫から出して来たのは……
チーズタルト。
「学校でよく食べてんじゃん?」
「………。よく知ってるね。」
さすがは悠仁様……。
こんなちっぽけなことが。
妙に嬉しかった。
「うまいか~、櫻井。」
名無しと私交互に見比べる…悠仁様。
『私はアンタの飼い猫か』って突っ込みたくなったけれど。
同じ瞳で見られているのが妙にこそばゆくて……
何も言えやしなかった。
一方の名無しは、遠慮なしに甘い声を出して……。
ご主人サマに顔をなすりつける。
その愛らしさは……
半端じゃない。
「………え…?」
彼の胸元で目を細める名無しの頭上……。
そこには。
確かに影はまだ存在していたけれど……。
「…………。」
その色は。
いつの間にか…ぼんやりと……
グレーへと変化していた。
「……そこの。抱っこしたいならハッキリ言えよ。」
この扱いの違い……。
名無しの体を撫でながら……
私の中で、一つの疑問が浮かんでいた。