明日ここにいる君へ


私は先を歩く二人の背中を追うようにして…

音楽室へと向かう。





「…………。」


常盤くんと無邪気に戯れる彼のそのカオから……


目が離せない。



だから、時折……



私の視線に気づいた君と、目が合ってしまう。





こんな気持ち、バレたくないのに……。


なのに、嬉しさばかりが先走りして。



歯止めが……




利かないんだ。













「悠仁くん!」




途端に……



背後から、女の子の声。




「ちょっと話したいんだけど、いいかなぁ?」



私達3人が振り返ったソコに。



可憐な……



美少女!!



この人…知ってる。

去年、1年生で学校のミスコンで優勝した……



松浦先輩 ……。



2年生が…、彼に何の用?




「いいけど、時間ナイ。」



「大丈夫、すぐ終わるから。」




彼女はチラリと……


こっちを見た。





「……これは……、アレだ。櫻井、行こう。」



状況を察した常盤くんは私に耳打ちして…


私は無言で頷く。





「…悠仁。俺らに構わず…ごゆっくり。」




私達は二人を残して……




スタスタと先を歩いていった。








……が、




「…と、見せかけてか~ら~の~?」



「…………?!」




常盤くんはぴたり、と足を止めると……。




「……もちろん、見たい…よね?」





返事も待たずして、私の手を引いて…。元来た廊下を……




戻って行った。








< 94 / 285 >

この作品をシェア

pagetop