明日ここにいる君へ
私も……
大して知ってる訳じゃあないけどね。
しばらくすると、ミスがその綺麗な顔を歪ませて……、こっちの方へと歩いて来た。
「…やべ。」
常盤くんの声に、私達二人はピッタリと壁に背をつけて…息を潜めるけれど。
すれ違い際に…
ミスにギロリと睨まれた。
「あれだけ綺麗な怒り顔もねーよな。」
「常盤くんてMなの?」
「え。今頃さっきの仕返し?」
「老人扱いよりは、マシじゃない?」
「……。ヤだな。あれは言葉のアヤだよ。つか、俺はどっちかっていうと…Sかな。櫻井に、つい構いたくなるし。」
「………え。」
この人もまた…、感情表現が豊かっていうか…。
素直な人だよね。
「…そーゆー反応が、新鮮。」
彼が私の頭にポンっと手を置いた所で……、
「……何してんの?」
悠仁様……、登場。
常盤くんは2、3度私の頭を叩いて。
それから…、
ゆっくりと、手を離した。
まるで…悠仁の出方を窺ってるみたい。
「覗き?」
「別に、そういうつもりはなかったけどね。なあ、櫻井?」
「…う、うん。」
「……へえ―…。」
そう言って。
君はチラリと…私の方を見た。
相変わらず、不機嫌そうだけど……?
「……今の話…、アンタも聞いてたの?」
「………………。」
「……まだ無視すんのかよ。どれだけさっきの引きずってんの?」
「…さっき?」
常盤くんが…すかさず突っ込む。
「や…、別に。何でもない。」
私も……
面倒くさいって思われてるのかな。
そりゃあ…、そうだよね。
余計なお節介やいて、
勝手に怒って……。
今だって、断ろうと思えば…できたのに、
詮索するような…マネを。
「…………。」
おや………?
これって…、『面倒くさい女』!