明日ここにいる君へ



大きな自己嫌悪に陥る私に……、



「……そうじゃない奴も…、いるんだよ。」



彼は、真っ直ぐにこっちを見て…言った。




「……え?」




どういう……こと?





「…ちょっ……」


私が口を開き掛けた所で……



タイミング良く、始業ベルが鳴る。



「宏大。……行くぞ。」




彼が私に…背を向ける。




「え。ねえ、ちょっと……!さっきの…どういう意味?」



その背中に。

思い切って……、声を掛ける。






「…アレ。もう声掛けないんじゃなかったの?」



悠仁が…こっちに振り返る。




「い、今だけ無効っ。」



「随分とまあ…、都合いいんだな。」



「……………。」



「………ちょっと、悠仁。お前ヤケに突っ掛かるけど…櫻井何かした?」




「……常盤くん…。ごめん、私は別に平気だから。」



「…でも…。」



「宏大。ややこしくなるから……黙ってて。」




冷たい言い方……。


何よ……、何がそんなに気に食わないのよ。





「櫻井。俺…、さっきも言ったよね。」



「………?」



「俺は、『ねえ』でも『ちょっと』でもないって。」



「…………。言った。」




「………あー…ムカつく。」



「………はい?!」




悠仁はそう吐き捨てて。



再び…



先を急ぐ。







< 97 / 285 >

この作品をシェア

pagetop