虹色センテンス
でも今日は楽しんでいる場合じゃないのだ。

今日は明日のダブルデートを断らなくては。
何と塾の夏休みは今日で終わり。
桜は家庭の事情で行けなくなったらしい。

携帯を取り出すと20:38を表示している。
思い切って電話してみる事にした。

1つ1つ番号を確かめながらボタンを押していく。
11桁まできて、通話ボタンを押す。

「RRRRRRR…」

ドキドキと心臓が破裂しそうになる。
井上は何と言うだろう。でも、だ、大丈夫だアタシ!!
だって井上は優しいし…少なくともそこら辺の男とは格が違うはず!!!

『もしもし』

「あ…もしもし?!?アタシ…えっと…」

『んぁ…結凛?』

「あ、ごめん。そうそう。今時間あるかな?」

『うん。どうした?』

アタシ、男の「どうした?」が好きなんだよね…
ていうか関係ないよ、アタシ。

「明日の事なんだけど…」

『うん?』

「アタシと桜…行けなくなっちゃって…本当にごめんね??」

いいいい言っちゃった!!…怒るかな…
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