虹色センテンス
放課後、楠本は部活。私も部活に明け暮れて中々合う時間が無かった。
まぁこれも仕方がない。
だって彼氏彼女じゃないんだから。

「楠本、遅刻。」
「遅刻?何言ってんだよー。俺の頭に遅刻も何もありませーん。」
「ま、そうだけど。なんか…ま、うん。いいけどそれで」
「何、文句あるんなら言えよ。」
「よかったなぁって」
「………?」

お前締まりのねェ顔して笑いなさんな、と楠本は片腕を首の後ろに回して鞄を胸へ引き寄せる。
私はというと内心おっかな吃驚してどうしようかと行き場のない感情をぎゅうぎゅうに心に詰め込んで、なるべく緊張を抑えた。
だって、ハズカシイシ。

「あー…なんか学校楽しいわ。」

(ほんの優しさがアタシの胸をつく)
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