虹色センテンス
「花さ、楠本のこと好きでしょ?」

「ぶふっ」

同じ班内で花とミミと私の三人でご飯を食べていた。
今日はいつもみたいな会話はなくて、私が開いた思わぬ言葉に花が持っていたお弁当を思わず落とした。

「あーぁ、勿体無い。」

「儚空が余計なこと言うからー。」

大好物を地面にお陀仏にしたせいで、花は相当不機嫌だった。
否、不機嫌だったのはそのせいだけじゃないかもしれない。
私が言ったあの突拍子の無い言葉のせいだ。

「…何で?」

「んー、なんとなく。」

恋敵が目の前に居るというのに、私は晴れ渡った空を見て笑えてしまう。
別に何かを深く考えているわけではなかった。
自然と笑みがこぼれたのだ。

「もし、好きだったら儚空はどうするの?」

「んー…難しい質問するねぇ」

でも答えは分かっていた。

好きと言う気持ちは誰もが平等に持つべき気持ちだと思う。
それは、優劣なんてきっとつかない。
人それぞれに愛の形があるんだから、自由だと、思った。

「その気持ちは大切にしてほしいなぁ」

「嘘。本当は、好きでも居てほしくないクセに」

「まぁ手ェ出されたら一発殴るくらいはするかもね」

「マジでか。」

「うん、マジで。」

「…じゃ、手を出すのはやめておくわ。」

横から入ったミミがさらりと言った言葉に花は飛び上がる。
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