明日へのメモリー
5
さっきから樹さんのことばっかり考えてる!
未練がまし過ぎ!
わたしは頭を振って自分を叱ると、手にしたプレゼントを眺めた。
それじゃ、彼、帰ってるんだ、日本に……。
七か月? もっとずっと長いこと、会っていなかった気がする。
その間に、アメリカも日本も世界も大変なことになってしまった。
でも、それがわたしの人生にまで、こんなにも響いてくるなんて、想像もしなかったけど。
いい機会じゃない? これでイヤでも卒業でしょ、樹さんから……。
皮肉に考えながら、ゆっくりとラッピングを解いてみる。
見るなり目を丸くした。ビロード張りの宝石ケースに、大きなルビーを一粒あしらった金のペンダントが納まっている。呆然と手に取ってみた。
こんなの、いくらするんだろう?
そりゃ、業界最大の会社勤めだけど、そんなに簡単に買えるもの?
第一、今のわたしが貰っていいはずがない……。
でも少なくとも、まだ気にかけてくれてるってことよね……。
途端に、話したくてたまらなくなった。お礼を言って、今の状況を説明したい……。
衝動的に携帯を取り出し、コールしてみる。彼もすぐに出てくれた。