明日へのメモリー

「へ、変じゃない?」

 じっと見ていた彼がOKというそぶりをしたので、慌てて言い返す。

「……というか、駄目よ! こんな高いモノ、軽々しく人にあげちゃ駄目だってば!」

「なんで? お前に買ってきたんだぞ?」

 だって、期待してしまうじゃない……。

 切ない抗議を無視して、彼は二つ目も見てみろと促す。開いてみると、今度はアロマオイルのしゃれた小瓶が出てきた。

 いい夢が見られそう。そう喜んでいるうちに、最初のサラダが運ばれてくる。

 食事をしながら、わたしはいつもより陽気に、彼のアメリカ話を聞いていた。

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