明日へのメモリー
ワンテンポ遅れて意味を理解し、ひぇっ! となった時には、わたしの身体はもう彼の腕の中だった。
背中のファスナーが下ろされ、慣れた手が服を手際よく取り去る間も、あらわになっていく場所に、味見するように触れてくる。
まるでわたしの反応を面白がっているようだ。まぁ、どぎまぎしながら固まってばかりいるのでは、遊ばれても仕方ないけど……。
オタオタしているうちに、下着も全て取り去られ、ベッドに横たえられた。
今、身につけているのは彼がくれたルビーのペンダントだけ。首筋で細いチェーンがさらりと揺れる。
彼の目に、全てをさらしてるんだ、わたし……。
まだ部屋は明るいまま。目を閉じていても、ちりちりするような視線を感じる。
なるべく自然体でいたかったけれど、初心者にはとても無理だった。
もじもじと両腕で身体を隠そうとしたとき、ぐっと押さえられた。触れたその身体は、もう何も着けていない。
頬から首筋を指先で撫ぞられ、訳もわからず「や、……いや」と声を立ててしまった。
途端にのしかかられ、「何が嫌なんだ? これか?」と、試すように唇が落とされる。びくっとしたわたしの耳に、笑いの滲む声がした。