明日へのメモリー
泣きたくなって、ぱっと目を開くと、かすかな光の中でわたしの表情を覗き込んでいる目にぶつかった。
情熱に煙った、わたしのすべてを受け入れて包んでくれる眼差し……。
「俺を感じる?」
照れるでもなく、むしろもっと強く押し付けながら冗談みたいに囁かれる。
返事に困っていると、いじわるな指が胸の先端をきゅっとつまみ上げた。
きゃっ! と振り仰いだ顔を、彼が笑って捕まえる。
「お前も感じるだろ……? おんなじさ。美里、俺の背中に腕を回して、そう……」
うながされるまま、わたしは夢中で大きな体を抱き締めた。
樹さんと、互いにすべてを晒《さら》し合って、しっかりと抱き合っている。
まるで奇跡みたいだ。この瞬間を、わたしは一生忘れない……。
本当に死んでもいいくらい幸せだった。
「少しは慣れてきた?」
肩やうなじにキスを落としながら、樹さんが声をかけてくれる。
これに『慣れる』なんて、できるの? と逆に聞きたくなった。
でも、何の声も出ない。やっと呼吸機能が回復しても、大きく息をつくのが精一杯。
そんなわたしに、彼はまた笑って、もう一度胸元に目を向けた。触れてほしいと誘うように、先端が硬く大きくなる。