明日へのメモリー
8
身体の奥がひりひりしてる……。
目を覚ましたとき、辺りはうす暗かった。今何時だろう?
間近に樹さんのぬくもりと息遣いを感じた。まだ二人とも裸だった。あのまま眠ってしまったらしい。
わたしをしっかりと抱いたまま、彼は軽い寝息を立てている。
起こさないよう、そっと頭をめぐらせ寝顔を眺めた。
思ったより長いまつげ。前髪がくしゃっとなっているのも、顔半分、枕に埋もれているのも、全部覚えておきたい。
見つめているうちに、奇妙な痛みがせまってきた。
わたしってなんて欲張りなんだろう。たった今もらったばかりなのに、もっともっと欲しくなるなんて……。
でも、勘違いしちゃ駄目……。
激しい気持に流されそうになって、必死に自分に言い聞かせた。
彼は、わたしに同情して抱いてくれただけ……。
わたしの気持なんて、彼はずっとお見通しだったんだから。
今、大人になったから、やっと応えてくれたの。
彼に愛されてる……なんて、錯覚しちゃ駄目!
そして……、これ以上まとわりついて、迷惑をかけることも……。