HAPPY CLOVER 4-学園祭に恋して-
#01 夏の終わり、嵐の予感(side暖人)
お盆を過ぎると北国の夏は終わったも同然だ。朝晩はひんやりとした秋の風が吹く。
俺の住むT市は太平洋に面して広がる街だ。漁港だけでなくフェリーターミナルもある。しかし街の基幹産業は漁業ではない。市街地に隣接する形で製紙工場が異様な存在感をアピールしているのだが、実際はこの企業の恩恵で我が街は成り立っている。
その製紙工場の巨大な煙突から吐き出される煙は、真上に伸び、空の雲と同化していくように見えた。
実は幼い頃、まだ純粋な心をもった少年だった俺は、あの赤白のボーダーにペイントされた煙突が雲を生産しているのだと信じていた。だから工場が休みの日は空に雲がないと勝手に思い込み、雲が空全体を覆うような日は工場に「作りすぎですよ」と電話したほうがいいのではないかと真剣に悩んだ。
そんな純粋な少年も順調に育ち、今では高校二年生だ。
そして純粋な少年だった俺らしく、とても純粋な恋愛中。
俺は思い切り首を傾ける。
――これでいいのか?
首を捻ったまま、世界を横から眺めるが、何の変化もない。
しかも教室の壁にかかっている時計はちょうど8時。少なくとも、あと20分経たないと舞は登校してこない。
仕方なく作業を再開する。
柱になる材木に釘を打ち、玄関を作っているのだ。
横を見ると、親友の田中弘樹はタオルを捻り鉢巻にし、口に釘をくわえて金槌を振るっている。当然、制服のYシャツは脱いでランニング姿だ。
――うん、将来は立派な大工になれそうだな。
「これ、屋根をつけるんだろ? そしたら下のほうに支えるものがないと倒れるんじゃねぇの?」
田中が口にくわえていた釘を打ちつけながら、俺に向かって口を開く。
「お前、ちゃんと設計図見たのか?」
やはり田中は大工に向いていない、と思いながら設計図を田中のほうへ放った。
「ああ、そっか。それにしても、清水って5教科だけじゃなく、技術とかも得意だよなぁ。すげぇな。お前、将来絶対いい旦那さんになるって」
「いい旦那さん? どこからそういう発想が?」
「いやほら、『ダーリン、この植木鉢を載せる花台作って』『よし、俺に任せておけ』……そして30分後、『できたぞ、ハニー』『まぁ、ダーリンったら、ス・テ・キ! チュッ』って感じ?」
――ダーリン? ……ハニー?
両腕に鳥肌が立つ。田中の脳内はハニーからキスをしてもらう妄想のところで止まったままのようだ。斜め上の天井付近を溶けそうな目で見つめている。
バカバカしいにもほどがある。
俺は別世界へ旅立った田中を放置して、今度は材木を切る作業に移った。
何を隠そう、我が学園の学園祭が二週間後に迫っているのだ。
夏休み明けの二週間後に学園祭というのは、スケジュール的にはギリギリで、クオリティを重視すると完成しない場合がある。ここはいかに手を抜き、それでいてゴージャスに仕上げることができるか、というのが各クラス、腕の見せ所なのだ。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
……と言いたいところだが、実は我が学園の学園祭は市内で一番面白いと評判があり、毎年断トツの来客数を誇っていた。
だから絶対に手を抜くわけにはいかない。他のヤツはどうだか知らないが、とにかく俺のプライドが手抜きを許さないのだ。
ウチの学園祭が面白い理由の一つは、学園祭の出しものは全て生徒たちの手で立案・企画されているということだろうか。
学園祭実行委員会には当然顧問の教員もついているが、我が学園は歴史も古く、自主自立の精神に基づいて、代々生徒会や部活動、そして学内の行事は全て生徒主体で運営されている。
そして5月のゴールデンウィークが終わると、この学園祭実行委員会より各クラスへ学園祭に関する議題がおろされ、内容検討がスタートするのだ。
6月には各クラスより企画書を提出し、実行委員会にて審査が行われる。これがかなり本格的で、もし「フランクフルト屋」を希望するクラスが競合した場合、より具体的で独創性のある企画を提出したクラスが権利を得るといった具合だ。
大抵の場合、3学年が人気のある企画を勝ち得るものだが、企画力のある人間が揃っていると2学年のほうが強いことがある。1・2学年の間はクラス替えがない。つまり団結力は2学年が一番勝っているということだ。
そういう事情もあり、我がクラスは毎年学内で人気の高い「お化け屋敷」を希望し、強敵の3学年を綿密な企画書で退け、権利を勝ち取っていた。勿論、企画書のほとんどを俺が書いたのだから、当然の結果と言える。
しかし、企画の内容を考えたのが例の菅原や沖野ら男子グループだ。俺はそれを企画書として見栄えよくまとめただけ。
このお化け屋敷には、一つだけ立案者のモラルを疑いたくなる箇所がある。最初に言っておくが、俺の発案ではない。でも、お化け屋敷に入った客は、間違いなく全員「考えたヤツは男だ」と断定するはずだ。
その点だけが企画書を作成した者としては不本意だが、仕掛けとしてはまぁ悪くない。
――ま、いいや。どうせ舞が自分のクラスのお化け屋敷に客として入ることはないだろうし。
気を取り直して、材木をのこぎりで裁断した。そして田中のほうを何気なく見る。
「あーっ! 田中、それ違う!」
「ん? 何が?」
「つける場所が逆だ」
「あ? 逆……? うおぉぉぉ! 清水、もっと早く言ってくれよ!」
田中は設計図をろくに確認せず、自分の思い込みで釘を打っているらしい。
「俺のせいじゃない」
「なんだよ、親友のクセに冷たいなぁ」
「お前がちゃんと設計図を見て作れば……」
と、俺が田中に苦言を呈している最中に、いつもと変わらぬ無表情の舞が静かに教室へ入ってきた。それを横目で眺めていると、舞の後ろをスキップでもしそうな足取りで沖野がついていく。
「高橋、どうだった?」
――どう、だった? なんだ、それは。
「うーん。これは、設定が面白いけど、出会いが強引というか、もっと自然な流れでそれぞれが出会う形のほうが私は好きですね」
「えー、俺、全然気にならなかったなぁ」
どうやら沖野が舞にラノベの感想を訊ねているようだ。少しホッとして、いやいや、とすぐに思い直す。
「あの、私は一応女子なので、男の子向けっぽいお話の萌えがいまいち理解できないんですが」
困惑気味に話す舞を見ていると、俺の足が勝手に二人のほうへ動き出した。
「沖野、しつこい男は嫌われるぞ?」
俺は舞と沖野の間に割り込み、沖野の肩に手を置いてから、ヤツの顔をわざとらしく覗き込んだ。沖野はクラスの男子の中で一番背が低い。小柄で、顔つきはわんぱく坊主そのものだ。
「別に、清水に関係ないじゃん」
沖野は迷惑そうに顎を上げる。その隙に舞が自分の鞄からカラフルな表紙の文庫本を取り出し、俺の机の上にすうっと移動させた。
「貸してくれてどうもありがとう。テスト勉強頑張りたいので、もういいです」
「あ、ああ」
あっけに取られている沖野のことなど構わず、舞は鞄を机の横にかけて、数学の教科書と参考書を開いた。
沖野は俺の机の上からラノベの文庫本をひったくるようにしてつかむと、スタスタと自分の席へ戻っていく。かわいそうな後ろ姿だ。……同情はしないけど。
そして学園祭の準備に奔走するクラスメイトを尻目に、数学の勉強に勤しむ舞を見た。
「テストの前に学園祭だけど、舞は手伝わないの?」
舞の動作がピタリと止まった。
「……私、器用じゃないので」
「器用じゃなくても仕事はあるよ。もう片付けに入るから、掃除手伝って」
舞が不安げに俺の顔を見上げる。
それを黙って見つめ返すと、観念したように舞が椅子を引いて立ち上がった。
どうもこの数日間、舞の様子がおかしい。いや、夏期講習が終わってから、急に舞の態度が変になった。
理由は考えなくても明らかだ。
――ったく、諒一の家で何があったんだ?
俺は掃除箱を開け、舞に箒とちりとりを預けた。それから材木を教室の後ろに片付け、工具をしまう。
舞が無表情で木屑を集めている。表情がないのはいつものことだが、眼鏡の奥では視線がぎこちなく揺らぎ、常に俺を窺うようにしていた。
この程度の変化は、ただのクラスメイトなら気がつかないだろうが、俺は違う。
当然、二人きりの時間に何度か問いただしてみたが、舞は困ったような顔をするだけで全く埒が明かないのだ。
俺のイライラは既に臨界点を越えていた。舞もそれには気がついているはずだ。しかし彼女の態度は頑なだった。
それに、と俺の脳内には嵐が吹き荒れる。
――放課後、学園祭の準備を手伝わないで、さっさと帰るってどういうことだ!?
これは非常にマズい傾向だと俺は思う。
そりゃ、世の中にはいろいろな主義主張の人がいるのは認めるし、「学内行事に振り回されず、勉学一筋で頑張りたい」という生徒も学園内に一人くらいはいるかもしれない。
昨年の舞なら俺も「まぁ、彼女は仕方ないか」と思っただろう。というか、舞は昨年もたぶん参加してなかっただろうし、俺もそれには全く無関心だった。
舞からすれば去年がそれで通ったのだから、今年も同様に参加しなくていいだろう、などと簡単に考えているのだろう。
だが今年は、それでクラスメイトが黙っているとは思えない。
現に女子グループがひそひそと陰口を叩き始めている。ヤツらも陰湿だが、この件に関しては、舞に非があることは否めない。
俺の住むT市は太平洋に面して広がる街だ。漁港だけでなくフェリーターミナルもある。しかし街の基幹産業は漁業ではない。市街地に隣接する形で製紙工場が異様な存在感をアピールしているのだが、実際はこの企業の恩恵で我が街は成り立っている。
その製紙工場の巨大な煙突から吐き出される煙は、真上に伸び、空の雲と同化していくように見えた。
実は幼い頃、まだ純粋な心をもった少年だった俺は、あの赤白のボーダーにペイントされた煙突が雲を生産しているのだと信じていた。だから工場が休みの日は空に雲がないと勝手に思い込み、雲が空全体を覆うような日は工場に「作りすぎですよ」と電話したほうがいいのではないかと真剣に悩んだ。
そんな純粋な少年も順調に育ち、今では高校二年生だ。
そして純粋な少年だった俺らしく、とても純粋な恋愛中。
俺は思い切り首を傾ける。
――これでいいのか?
首を捻ったまま、世界を横から眺めるが、何の変化もない。
しかも教室の壁にかかっている時計はちょうど8時。少なくとも、あと20分経たないと舞は登校してこない。
仕方なく作業を再開する。
柱になる材木に釘を打ち、玄関を作っているのだ。
横を見ると、親友の田中弘樹はタオルを捻り鉢巻にし、口に釘をくわえて金槌を振るっている。当然、制服のYシャツは脱いでランニング姿だ。
――うん、将来は立派な大工になれそうだな。
「これ、屋根をつけるんだろ? そしたら下のほうに支えるものがないと倒れるんじゃねぇの?」
田中が口にくわえていた釘を打ちつけながら、俺に向かって口を開く。
「お前、ちゃんと設計図見たのか?」
やはり田中は大工に向いていない、と思いながら設計図を田中のほうへ放った。
「ああ、そっか。それにしても、清水って5教科だけじゃなく、技術とかも得意だよなぁ。すげぇな。お前、将来絶対いい旦那さんになるって」
「いい旦那さん? どこからそういう発想が?」
「いやほら、『ダーリン、この植木鉢を載せる花台作って』『よし、俺に任せておけ』……そして30分後、『できたぞ、ハニー』『まぁ、ダーリンったら、ス・テ・キ! チュッ』って感じ?」
――ダーリン? ……ハニー?
両腕に鳥肌が立つ。田中の脳内はハニーからキスをしてもらう妄想のところで止まったままのようだ。斜め上の天井付近を溶けそうな目で見つめている。
バカバカしいにもほどがある。
俺は別世界へ旅立った田中を放置して、今度は材木を切る作業に移った。
何を隠そう、我が学園の学園祭が二週間後に迫っているのだ。
夏休み明けの二週間後に学園祭というのは、スケジュール的にはギリギリで、クオリティを重視すると完成しない場合がある。ここはいかに手を抜き、それでいてゴージャスに仕上げることができるか、というのが各クラス、腕の見せ所なのだ。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
……と言いたいところだが、実は我が学園の学園祭は市内で一番面白いと評判があり、毎年断トツの来客数を誇っていた。
だから絶対に手を抜くわけにはいかない。他のヤツはどうだか知らないが、とにかく俺のプライドが手抜きを許さないのだ。
ウチの学園祭が面白い理由の一つは、学園祭の出しものは全て生徒たちの手で立案・企画されているということだろうか。
学園祭実行委員会には当然顧問の教員もついているが、我が学園は歴史も古く、自主自立の精神に基づいて、代々生徒会や部活動、そして学内の行事は全て生徒主体で運営されている。
そして5月のゴールデンウィークが終わると、この学園祭実行委員会より各クラスへ学園祭に関する議題がおろされ、内容検討がスタートするのだ。
6月には各クラスより企画書を提出し、実行委員会にて審査が行われる。これがかなり本格的で、もし「フランクフルト屋」を希望するクラスが競合した場合、より具体的で独創性のある企画を提出したクラスが権利を得るといった具合だ。
大抵の場合、3学年が人気のある企画を勝ち得るものだが、企画力のある人間が揃っていると2学年のほうが強いことがある。1・2学年の間はクラス替えがない。つまり団結力は2学年が一番勝っているということだ。
そういう事情もあり、我がクラスは毎年学内で人気の高い「お化け屋敷」を希望し、強敵の3学年を綿密な企画書で退け、権利を勝ち取っていた。勿論、企画書のほとんどを俺が書いたのだから、当然の結果と言える。
しかし、企画の内容を考えたのが例の菅原や沖野ら男子グループだ。俺はそれを企画書として見栄えよくまとめただけ。
このお化け屋敷には、一つだけ立案者のモラルを疑いたくなる箇所がある。最初に言っておくが、俺の発案ではない。でも、お化け屋敷に入った客は、間違いなく全員「考えたヤツは男だ」と断定するはずだ。
その点だけが企画書を作成した者としては不本意だが、仕掛けとしてはまぁ悪くない。
――ま、いいや。どうせ舞が自分のクラスのお化け屋敷に客として入ることはないだろうし。
気を取り直して、材木をのこぎりで裁断した。そして田中のほうを何気なく見る。
「あーっ! 田中、それ違う!」
「ん? 何が?」
「つける場所が逆だ」
「あ? 逆……? うおぉぉぉ! 清水、もっと早く言ってくれよ!」
田中は設計図をろくに確認せず、自分の思い込みで釘を打っているらしい。
「俺のせいじゃない」
「なんだよ、親友のクセに冷たいなぁ」
「お前がちゃんと設計図を見て作れば……」
と、俺が田中に苦言を呈している最中に、いつもと変わらぬ無表情の舞が静かに教室へ入ってきた。それを横目で眺めていると、舞の後ろをスキップでもしそうな足取りで沖野がついていく。
「高橋、どうだった?」
――どう、だった? なんだ、それは。
「うーん。これは、設定が面白いけど、出会いが強引というか、もっと自然な流れでそれぞれが出会う形のほうが私は好きですね」
「えー、俺、全然気にならなかったなぁ」
どうやら沖野が舞にラノベの感想を訊ねているようだ。少しホッとして、いやいや、とすぐに思い直す。
「あの、私は一応女子なので、男の子向けっぽいお話の萌えがいまいち理解できないんですが」
困惑気味に話す舞を見ていると、俺の足が勝手に二人のほうへ動き出した。
「沖野、しつこい男は嫌われるぞ?」
俺は舞と沖野の間に割り込み、沖野の肩に手を置いてから、ヤツの顔をわざとらしく覗き込んだ。沖野はクラスの男子の中で一番背が低い。小柄で、顔つきはわんぱく坊主そのものだ。
「別に、清水に関係ないじゃん」
沖野は迷惑そうに顎を上げる。その隙に舞が自分の鞄からカラフルな表紙の文庫本を取り出し、俺の机の上にすうっと移動させた。
「貸してくれてどうもありがとう。テスト勉強頑張りたいので、もういいです」
「あ、ああ」
あっけに取られている沖野のことなど構わず、舞は鞄を机の横にかけて、数学の教科書と参考書を開いた。
沖野は俺の机の上からラノベの文庫本をひったくるようにしてつかむと、スタスタと自分の席へ戻っていく。かわいそうな後ろ姿だ。……同情はしないけど。
そして学園祭の準備に奔走するクラスメイトを尻目に、数学の勉強に勤しむ舞を見た。
「テストの前に学園祭だけど、舞は手伝わないの?」
舞の動作がピタリと止まった。
「……私、器用じゃないので」
「器用じゃなくても仕事はあるよ。もう片付けに入るから、掃除手伝って」
舞が不安げに俺の顔を見上げる。
それを黙って見つめ返すと、観念したように舞が椅子を引いて立ち上がった。
どうもこの数日間、舞の様子がおかしい。いや、夏期講習が終わってから、急に舞の態度が変になった。
理由は考えなくても明らかだ。
――ったく、諒一の家で何があったんだ?
俺は掃除箱を開け、舞に箒とちりとりを預けた。それから材木を教室の後ろに片付け、工具をしまう。
舞が無表情で木屑を集めている。表情がないのはいつものことだが、眼鏡の奥では視線がぎこちなく揺らぎ、常に俺を窺うようにしていた。
この程度の変化は、ただのクラスメイトなら気がつかないだろうが、俺は違う。
当然、二人きりの時間に何度か問いただしてみたが、舞は困ったような顔をするだけで全く埒が明かないのだ。
俺のイライラは既に臨界点を越えていた。舞もそれには気がついているはずだ。しかし彼女の態度は頑なだった。
それに、と俺の脳内には嵐が吹き荒れる。
――放課後、学園祭の準備を手伝わないで、さっさと帰るってどういうことだ!?
これは非常にマズい傾向だと俺は思う。
そりゃ、世の中にはいろいろな主義主張の人がいるのは認めるし、「学内行事に振り回されず、勉学一筋で頑張りたい」という生徒も学園内に一人くらいはいるかもしれない。
昨年の舞なら俺も「まぁ、彼女は仕方ないか」と思っただろう。というか、舞は昨年もたぶん参加してなかっただろうし、俺もそれには全く無関心だった。
舞からすれば去年がそれで通ったのだから、今年も同様に参加しなくていいだろう、などと簡単に考えているのだろう。
だが今年は、それでクラスメイトが黙っているとは思えない。
現に女子グループがひそひそと陰口を叩き始めている。ヤツらも陰湿だが、この件に関しては、舞に非があることは否めない。